四 うるし千ばい朱千ばい

 富山市郊外呉羽山の裾野とも申します婦負郡長岡村、今の長岡御廟の隣地旧共同墓地西南の隅に長者屋敷というところがありまして、昔から里謡を永く伝えました。
『うるし千ばい朱千ばい黄金(こがね)の鶏(とり)が一番(ひとつがい)朝日輝く夕日さすみつはうつぎの下にある』
 今から百年以前、ここを、長者が子孫に譲る宝をうずめてある『朝日輝く夕日さす三つはうつ木の下』だと手前勝手な解釈をして、ある日のこと里人集会の折に、たまたまこの里謡の話がわき出て、そこを掘ればきつとよい宝が出るに相違ないと一人がいい出しますと、慾に目のない連中は異口同音に賛成しまして発掘の話が立どころに一決しました。
 翌る朝大勢の若者がてんでに鍬をかついで長者屋敷に来て一生懸命に土をほりかえしますと、駒引銭(こまびきせん)が少々出ました。これに力を得て、さらに勇を振るい汗水ながして今度こそは黄金の鶏一番(ひとつがい)ほり上げようと、あせれどあせれどあとは何一つ出ません、所謂『骨折り損のくたびれもうけ』という大滑稽を演じたそうです。
 因みに申します、出ないのがあたり前で、考古学者の説によりますと、昔貴人の死んだ当時後世の木遣節のような歌を謡うたもので、その歌が年久しく伝つたものだそうです。
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